映画版が現在上映中の人気マンガ『新宿スワン 1巻~38巻(完)』和久井 健 (著)
2015/06/07
新宿歌舞伎町を舞台にした、夜の仕事をする女の子たちをスカウトするスカウトマンの物語です。
まあ歌舞伎町を舞台にしてるってことでヤクザがもりもり出てくるわけで、ヤンマガだしまたそういう系ね…なんて思いもしますがその中ではかなり上位の面白さだと思います。
まず主人公のキャラが良い。
主人公はボサボサの金髪頭でブサイク男の設定。だけど身長が高く、喧嘩は強くて根性がある。
こんなキャラ設定なんだけど、例えば喧嘩が強いって言っても馬鹿みたいに腕っぷしだけで無双するわけでもないし、しっかり喧嘩でやられることもあります。
根性があるってところも常に恐れ知らずで向かっていくのではなく色々な場面でビビる描写が描かれてたり、そこらへんが読者をぐっと引き込むというか感情移入しやすく、非常に上手いです。
作中に出てくる主要人物は大体が黒い世界で生きている人たちなので、喧嘩もするし脅しもするんだけど、そこらへんも普段のヘラヘラしてる場面と怒ったりしてる場面を絵柄で描き分けてよりシリアスさを出してます。
また、数ある裏の世界的な漫画の中でもこの漫画は悪人を描くのがとても上手く、かなりみんな怖いです。
そしてその悪人たちもまたそれぞれの上にいる悪人たちに対してびびったり恐れたりする描写も多く、そこらへんが作中に渦巻く裏の世界の怖さをとても上手く表現してます。
なによりみんなかっこいい!
これはやっぱ男の感覚なんだろうけど、作中のキャラクターみんなかっこいい!
画力も巻を進めるごとにどんどん上達していくし、かなり登場人物が多い漫画ですが、男キャラはしっかり描き分けもできてます。
- イケメンキャラから
- 強面の斜視キャラまで
あとこの漫画では怒っている時や焦っている時などに「ハァハァ」や「ふー ふー」といった息づかいの描写が多く、その使い方も読者を引き込み、とても上手いです。
1巻の時点で画力は足らずともこの迫力はセンスを非常に感じるよね!
話の大筋もどの時点でどこまで考えていたのかはわからんけど非常に作りこまれていて、読み進めるごとに凄いなぁと感心します。
まあちょっと矛盾というかおかしな点もなくはないですけど。
ただね、主人公のタツヒコこと白鳥龍彦くん。みんなに好かれすぎ。
まーそういう才能を持った奴ってことなんだろうけど、そうだとしても男からも女からもすぐに気に入られて、ピンチを人に助けてもらうような場面が非常に多い。
物語はいくつかの大きなパートに分かれて進行していくんだけど、その都度ほぼ毎回主要の女キャラが登場してきて、その女にタツヒコくんは出会い、知り合い、気に入られる。
もーこのパターンばっか!!
たしかにタツヒコくんは漢気もあるしカッコいいよ!でもそれで簡単にキャバクラや風俗やってる女たちがタツヒコくんに心を開くのおかしーよ!ご都合主義すぎるわ!
そんで毎回敵側としての悪者が出てくるんだけど最後はみーんないい奴で終わるの。
アホか。すげー悪いことしてきただろこいつら!!
まーそりゃー鬼畜かってぐらい残酷なことをしたり、裏切ったりして”悪い奴”として最初は出てくるのにタツヒコくんが色々と立ち回り話が解決したころにはその悪い奴にも色々なバックボーンがあり、実はいい奴でしたー!タツヒコくんも全然恨んでませーん!って展開で毎回終わる。
タツヒコくんも「やっぱあんたはイイ人だ!」みたいなこと言っちゃうしね。頭おかしーんじゃねーのこいつ。
すげー悪い奴ばかり出てきて、やくざはとことん悪で描かれてるんだけど、主人公につっかかってきた奴らはみんな良い人で終わってちょっと感動話入れるのヤメロ!
話もどんどんどんどん飛躍していって最後の方はスカウト漫画ってよりやくざ漫画になってるじゃねーか。
最後の方っつーか中盤以降はスカウトよりもやくざと会社の勢力争いしてるだけ。
まーそれでもそういう漫画と思って読むから面白いんだけどさ。
それから主要登場人物たちの名前が干支、十二支になってるところなんかの細かい伏線?もそういうところ俺好きです。
主人公のタツヒコくんは白鳥龍彦で鳥と龍とか、真虎(まこ)さんで虎とかね。
で、猿いねーなぁと思ってたら秀吉くんが猿っていうね。羊も洋介くんでシ羊介なんですね。
猪が最後まで見つけられなかったんですけど猪って亥→玄介なんですかね。なんか玄猪(げんちょ)って言葉もあるみたいですし。
さらには四神の青龍・白虎・玄武・朱雀、もすこしかかってたりとか、まあどこまで色々と考えてるのか知らんけど凄いですね。
なんか現在、Kindle版では3巻まで無料で読めるみたいなのでとても面白いですし是非試し読みしてみてください。
映画版も大人気上映中ということで是非見てみたいですね。
まーDVDレンタルで見るつもりですけど。
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